目次
  1. 之繞

之繞

(しんにゅう・しんにょう=進み入る)
(之繞部→道・運・達・など)

暗き山道登り行 時折光に照らさるる

あとみれば 此処まで来たかとかえりみて
まえみれば 未だ此処かと奮ひ立て
もとみれば 泥濘(ぬかるみ)躱すに氣をとられ
かみみれば そらたかきこと愕(おどろ)ける

何其のいき 察すれば 心引締め道歩み
何其の聲  響きては 人か化けかと 往くか去るかと おもゐ考へ

身軽し者は足早に 山の天にて酌交す
身重な己戒めて  標を点てて道歩む

此処は一つの山也や 煙上がりし山見ゆる


谷下りて 人と交わり盃に
山噺(ばなし) 玅(わか)いことゆゑ花咲かす

山は泡沫(うたかた) 夢幻かと忘れ去
夢現と迷いけれ されとて歩むは人也か
迷ふに迷 曙へ 

道行て 昨夜の宴涌き出づる
右に左に評り並 励み省み抱へ行く

山谷無くば平也 山谷無くば境無き
山谷無くば淡さ無く 山谷無くば濃さ無けれ

山道無くば人生らず 山道無くばみこと無く
一切苦しも 樂あれば
一切苦しも あまあれば


迷ふる者は標見ゆ
幾年経てど 朽ち果てど

除夜の鐘 響きわたりて 歳迎い
おもゐ焚き上げ 歳神迎う

12/26 記

2025/1/4 四日前に投稿する予定であったが、体調不良であったので今更ながら公開